うら田 創業80年史
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102手作りのおいしさにこだわって  新工場の完成に合わせ、菓子製造用の設備も新たに導入した。とはいえ、浦田が大切にしているのは手作りのおいしさだ。この点について一郎は次のように話す。「売り上げが増え、規模が大きくなると何より効率を重視し、機械で作れない菓子を商品化しないメーカーもあるほどだ。ただ、いくら効率が上がっても、味が損なわれるようでは元も子もない。浦田にとっては、食べてくださるお客様に喜んでもらえる菓子を作ることが第一だ。規模や効率は追求しないし、機械化する際は手作りと同じおいしさ、品質が保てなければいけないと考えている」 生姜風味のサブレ「金きん風ぷう」を例に挙げよう。歯触りや食感を良くするため、生地に細かな筋目を付ける工程は機械で行っている。これは、手で筋目を付けても機械化しても、品質が変わらないからだ。一方、焼き上げた後、生地の表面に生姜蜜を塗る工程は職人が1枚1枚丁寧にはけで塗っている。これは、適量の生姜蜜を塗るのが機械では難しいためだ。

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