うら田 創業80年史
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109第4章 試練を乗り越えてかもしれない。それならば一点に集中して学ぼう」と製餡部への配属を志願した。高校や大学の勉強はついに好きになれなかったと笑う東一だが、菓子作りには自然と興味が湧き、朝6時半から夜の7時、残業があれば夜中まで働くことも珍しくなかった。 小田社長の経営哲学に触れる機会も多かった。例えば小田社長は常々、「菓子を作るプロとして、たとえ一つであっても粗相があってはならない」と社員に言い聞かせていた。毎日何千個もの菓子を製造する菓子メーカーにとってはたくさんのうちの一つでも、お客様にとってはその一つがすべてである。仮にその菓子に問題があれば、お客様に大変なご迷惑をかけてしまう。だからこそ、一つ一つをおろそかにせず、丁寧に心を込めて作らなければならないと、口酸っぱくたたき込んだのだった。 また、商品に値段を付ける際、なるべく安くしてお客様に喜んでもらおうと、利益が薄くなるのを構わず、小田社長は1円単位、5円単位で付けており、これ以降、東一自身も値付けに関してはより慎重に考えるようになった。 ある時には、小田社長は社員を前に「人生を歩んでいくときは常にチャンスを受け止められるような心構えでいなければならない」と訓示した。商売の師と仰げるような人と出会ったり、参考になる話を聞いたりしても、それをチャンスととらえ自身の

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