うら田 創業80年史
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111第4章 試練を乗り越えて材料さえ見当が付かなかった。開発はまさに暗中模索であり、思いつくままに試してみても思った通りの食感は再現できなかった。先輩社員たちが培ってきた和菓子作りのノウハウを注ぎ込んでも、まったく完成のめどが立たず、1年がたつ頃には東一もほぼ開発を諦めかけていた。 それでも粘り強く試行錯誤するうち、東一はある洋菓子講習会で偶然ヒントを得た。それは、あらかじめ煎いった小麦粉とアーモンドプードル(粉)を植物性の油脂と混ぜ合わせる工程だった。急いで工場に戻って試作してみると、生地は見事に口の中でほろほろと崩れていった。これこそが独特の食感を実現する秘訣だったのだ。 ここから開発は一気にスピードアップした。シナモンやレモンの皮を加えるなどして独自の風味を付一郎(前列中央)の長男東一(後列右)が入社した平成元年(1989年)の入社式

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