うら田 創業80年史
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112け、形やサイズもポルボローネ本来の丸くて大きなものでなく、サイコロ状にして女性でも一口で食べ切れるようにした。 お客様に喜んでもらうには味はもちろん、プラスアルファの要素が必要と考え、パッケージの色や形にも工夫を凝らした。具体的には、まず愛香菓を一つずつ正方形の包装紙に載せ、その紙の四隅を持ち上げて絞るようにしてくるむ。これを楕だ円えん形の箱にいくつも収めるとまるでアジサイのように小さな花がいくつも咲いているように美しく見えるという趣向だ。 東一は「発想の源になったポルボローネよりも格段においしく、オリジナリティーのある菓子に仕上がった」と胸を張る。その言葉通り、発売後は売れ行きがじわじわと伸び、現在もファンの多い人気の一品となっている。 社員一丸で工芸菓子作り  愛香菓が発売された平成4年(1992年)はバブル景気が終焉を迎えた翌年で、日本経済に急ブレーキがかかり、 〝倒産〞や〝リストラ〞といった言葉が新聞やテレ

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