うら田 創業80年史
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113第4章 試練を乗り越えてビをにぎわせた。景気回復の兆しが見え始めたのは平成6年(1994年)だった。日本人初の女性宇宙飛行士として向井千秋さんが宇宙へ飛び出し、関西国際空港が開港したこの年、金沢では菓子をテーマにしたビッグイベントが開かれた。それが第22回全国菓子大博覧会(金沢菓子博'94)である。 菓子博は明治44年(1911年)に開かれた帝国菓子飴大品評会が始まりで、戦争による中断を挟み、ほぼ4年に1度開かれている。金沢では明治45年(1912年)以来、2度目の開催となった。 4月23日から金沢市の石川県西部緑地公園で開かれた金沢菓子博は、地元をはじめ全国から集められた菓子が展示、販売されたほか、金沢の菓子文化を発信する企画展示、菓子作り教室や職人による実演、多彩なステージイベントなどが催され、23日間の会期中、過去最多となる約74万人の入場者を集めた。 菓子博の目玉の一つとなったのが工芸菓子だ。工芸菓子とは製菓材料で作った写実的で芸術性の高い観賞用の菓子である。浦田でも「白はく山さん麓ろくの翼」と題し、日本3名山の一つに数えられる霊峰白山のふもとから今にも飛び立とうとするイヌワシを作って出品した。

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