うら田 創業80年史
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118 一方、野町本店はすぐに閉鎖せず、そのまましばらく営業を続けた。一郎が後ろ髪を引かれる気持ちで閉店を決めたのは数年後、八日市出町店の経営が軌道に乗ったのを見届けてからである。 かつて大人の社交場としてにぎわっていた茶屋街への人出はめっきり減る一方、道路拡張に伴って野町本店の周囲にあった商店のほとんども既に姿を消していた。一郎は企業が永続していくためには経営環境の変化を敏感に察知し、その変化に柔軟に対応する努力が欠かせないとあらためて強く感じていた。 感謝の気持ち伝える「お茶の日」  八日市出町店をオープンした頃から直営店でスタートさせたのが「お茶の日」と銘打ったイベントだ。毎月20日を「お茶の日」と定め、当日は日頃の感謝を込めて来店客にその日限定で作った菓子と抹茶を振る舞っている。 元々は5000円以上買っていただいたお客様に、いつでも都合のいい時に上生菓子とお茶を提供する呈茶券を渡していたのが始まりで、これを発展させるかたちで企

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