うら田 創業80年史
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121第4章 試練を乗り越えて一には、「和菓子と洋菓子の技術や材料が合わされば、新たな菓子を生み出せるはず」と期待する気持ちがあった。 唯一、「徳弘が個人経営で出店した方がいい」と反対したのが経理を預かる明朗だった。しかし、一郎から徐々に経営の実権を任されつつあった東一が、「徳弘はしっかりと技術を身に付けているし、実際に作ったケーキなどもおいしい。これなら絶対に繁盛する」と明朗を説得した。 こうして同年9月、金沢市藤江北2丁目にオープンしたのが洋菓子店「パティスリー・ラクアジュール」である。浦田では創業者・一の代からシュークリームやカステラなどを作ってきたほか、野町本店でもお客様のニーズに応じてケーキなどを販売した時期があった。とはいえ、主力はあくまでも和菓子であり、本格的な洋菓子専門店を構えるのは初めての試みだった。 群青色に込めたもてなしの心  洋菓子店の建設地には、JR金沢駅の海側に広がる駅西地区を選んだ。一帯は金沢

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