うら田 創業80年史
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122の副都心として幹線道路の整備や商業施設の出店、住宅・アパートの建設が進み、広域からの集客が見込めるエリアだ。店の近くには、平成15年(2003年)に金沢市中心部から移転してきたばかりの真新しい石川県庁舎がひときわ目を引いた。 店名の「ラクアジュール」はラテン語のアクア(水)とフランス語のアジュール(群青色)をもじった造語である。アクアには水と素材にこだわった上質な洋菓子を提供したいとの意欲を込め、実際、仕込みには白山の伏流水を用い、能登産の栗やブルーベリーなど地元産の素材もふんだんに取り入れた。 群青色は、店を訪れるお客様に対するおもてなしの気持ちを表現したもので、店のイメージカラーとしても採用した。モチーフになったのは、加賀藩13代藩主前田斉なり泰やすが母のために建てた成せい巽そん閣かくにある「群青の間」だ。群青の間は当時、金よりも高価と言われたヨーロッパ産の顔料ウルトラマリンブルーを輸入して壁を鮮やかな群青色に仕上げた部屋で、特別な客だけを通したと伝えられる。明治時代以降、金沢の料亭や町家、茶屋でもこれにならった部屋が作られ、言ってみればおもてなしを意味する特別な色として愛されてきた色だった。 和洋の要素を取り入れたモダンな造りの店舗は約80坪と大きめで、落ち着いた雰囲

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