うら田 創業80年史
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129第4章 試練を乗り越えて バウムクーヘンの賞味期限は本来、年内いっぱいだったが、短めに表示した方が鮮度を大切にした商品と感じてもらえると考え、パッケージには「11月5日」と印字した。しかし、販売用に仕入れた商品が11月に入っても売れ残ったため、賞味期限を「12月3日」と記載したシールを上から貼って販売を続けた。これが消費者から偽装表示であるとの指摘を受けたのだった。 社員の辞表で閉店を決断  徳弘から電話を受けた東一は、寝耳に水のような報告に驚きつつも、「県や消費者に事情を説明して理解してもらえば、大事にならず事態はすぐに収まる」と深刻には受け止めていなかった。「シールを2度貼りして賞味期限を不正に先延ばしした印象を与えてしまったが、本来の賞味期限はもっと先であり、品質的にはまったく問題がなく、違法性もない」と考えていたからだ。 実際、この行為は違法ではなかった。しかし、県の立ち入り調査でこれとは別に、

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