うら田 創業80年史
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15序 章とオリジナリティーにあふれる菓子を考案し、いずれも浦田甘陽堂の看板商品として定着している。 また、時代に合わせて商品を見直し、変化させることも二人が心がけてきたことの一つだ。「昔人気があったからとそのまま漫然と作り続けていては、いずれ売れなくなる。その時代の消費者の嗜好に合わせて菓子も変えなければいけない」。 一郎はそう話し、ロングセラーの商品も時代に合わせて少しずつ味や形、大きさなどを見直してきた。「加賀八幡 起上もなか」の包装紙はその一例だ。現在の包装紙は穏やかで福々しい表情を浮かべる赤い産着姿の起き上がりこぼしをモチーフにしていて、これは東一が社長に就任した後の平成22年(2010年)に採用したものだ。時代をさかのぼり、一郎の代では白い包装紙に筆書きで商品名をしたためただけのものだった。「私には赤い包装紙を使うという発想はなかった。実は今でも白い包装紙の方がスマートだと思っているが、今の時代のニーズはそうではない。昔はこれで売れたからと固執するのでなく、変えていく勇気が必要で、そうでなければ取り残されてしまう」

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