うら田 創業80年史
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132商品点数減らし、売りたいものを明確に  浦田の売り上げが事件前の水準に回復するまでに約2年間を要した。洋菓子店の開店に伴う負債も業績を圧迫した。この間、東一はお客様からの信頼を取り戻すために、今自分たちには何ができるだろうかと自問自答し続けた。そしてたどり着いた答えが、菓子屋の本分を追求することだった。 東一がまず手を付けたのが商品数の削減で、定番商品として年間を通じて販売する菓子を約20種類から10種類ほどに絞り込んだ。その裏側には「自分が何を売りたいかを明確にし、お客様にこの菓子こそがおすすめですと提案できるようにしたい」との狙いがあった。 東一が入社して以降、「創作菓子 浦田」の名に恥じないようにと、新商品を次から次へと店頭に並べた結果、売り場を設けていたあるデパートの経営者から「浦田さんのところは一体何を売りたいんや」と首をかしげられることがあった。また、洋風にアレンジした菓子に対して、「もっと純粋に和菓子を作ってほしい」との常連客の声

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