うら田 創業80年史
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133第4章 試練を乗り越えてもあった。 東一は今後は新しい菓子を追い求めるより、今ある商品をブラッシュアップする方が浦田らしさをより出せると考えを改めた。 通年商品を単に絞り込むだけでなく、一つ一つの商品を一から見直した。例えば、半世紀を超えるロングセラーとなっている「加賀八幡 起上もなか」は、小豆の品種や産地に始まり、砂糖などの配合量、炊き上げる際の火加減や水加減に至るまで、微に入り細をうがって検討を重ねた。 これにより、甘さは控えめでも小豆の風味がより強く感じられるようになり、合わせて個包装もそれまでの白色から赤色に変更した。 昭和30年(1955年)の発売時、もなかの個包装は白い包装紙に筆書きで商品名を記しただけのものだった。平成元年(1989年)からは筆書きの文字をやめ、白い包装紙に加賀八幡起上りの愛らしい表情を描いたものに変更した。その後、歳暮シーズンだけは売り場に彩りを加える意味で赤い産着姿の起き上がりこぼしを描いた個包装を採用したところ、こちらの方がお客様に喜ばれていると肌で感じた売り場の店員が「年間を通して赤色の個包装にしてはどうか」と会社に提案。これを受けて平成23
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