うら田 創業80年史
135/141

137第4章 試練を乗り越えて年越しの悲願であった北陸新幹線が開業した。乗客数は1年間で900万人を超え、観光産業を中心に特需とも言える経済効果が広がった。 浦田もその恩恵にあずかり、親子三代で磨きをかけてきた「加賀八幡 起上もなか」を中心に売れ行きが急激に伸び、増産対応に追われた。北陸新幹線による好影響は2年目に入っても続き、浦田では平成28年(2016年)10月15日、上げ潮ムードの中で80周年の晴れの日を迎えた。 一郎は万感の思いを胸に次のように話す。「一足飛びに成長しようなんて考えていない。今日より明日、明日より明後日と、スズメの涙ほどでいいので少しずつお客様からの信頼を積み重ね、会社も経営者も社員も一歩一歩成長していけばいい。これからもお客様に感謝し、社員に感謝し、そして菓子文化が息づくここ金沢で菓子作りを探求できる幸せをかみしめながら、ひたむきに進んでいくだけだ」 社長として10年間、舵取りをしてきた東一は モラロジーの教えを創始した廣池千九郎博士の残した次の言葉を経営の原点に据え、仕事に励んでいきたいと意気込む。「大勢には、善きものと悪しきものとあり。大勢に逆行するもの、または順応するも

元のページ  ../index.html#135

このブックを見る