うら田 創業80年史
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36助すけ九く郎ろう町まち6番地(現在の野町2丁目)である。 和菓子製造が本格化。注文取りに苦労 新店舗では、桂月堂のパン、小出菓子店など近隣の店から仕入れたせんべい、明治製菓や森永製菓といった大手メーカーのキャラメルやビスケットの販売に加え、菓子の自社製造を本格化させていった。 それを後押ししたのが菓子職人の北村だった。北村は、もともと長町1丁目にあった前野菓子店で働いていた。一は生菓子の注文を受けると前野菓子店から卸してもらっていて、その配達に浦田本舗に来ていた北村とは親しい間柄であった。そのうち北村は一の下で働くようになり、和菓子職人を雇い入れたことで、経営の軸足も徐々に和菓子へと移っていった。 それとともに一は営業に出るようになった。和菓子の見本を番重に並べ、市内の家々を回ったものの、一はぶっきらぼうで口下手なタイプなだけに、商いはなかなか軌道に乗らなかった。裕福そうな家や子どもがたくさんいるような家を見定めて訪
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