うら田 創業80年史
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77第3章 焼け跡からの再出発 新工場ができてしばらくすると、一は工場の前に小さな家を建て、きみや陽作とともに暮らし始めた。工場が夜間、無人になるのを不用心に思ったためである。一郎は親のありがたみをかみしめるとともに、予想外の喜びも味わった。それは、工場へ菓子を買いに来る客が現れ、次第に増えていったことである。工場の周りは住宅街でも、車の往来の激しい場所でもない。にもかかわらず、菓子の工場ができたことを知った住民の口コミで評判が広まり、新たな客を掘り起こしたというわけである。喜んだ一も住まいの一部を改装して売店とし、購入客の対応に新たな生きがいを見つけたようだった。自宅の一部を販売店として改装

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