うら田 創業80年史
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79第3章 焼け跡からの再出発客様に喜んでもらうことだ。安い材料で作った菓子を高値で売れば、確かに会社は儲かるかもしれない。だが、おいしくもない菓子を高く売れば、結局はお客様にそっぽを向かれてしまう。つまり、自分さえ儲かればいいという利己的な考え方では商売がうまくいくはずもない」 モラロジーを学ぶにつれて、一郎の胸の中に〝儲ける〞という思考法から脱却し、お客様を第一に考え、結果として〝儲かる〞という経営への転換が強く意識されるようになっていった。 また、売り手と買い手だけでなく、取引先や従業員など会社を取り巻くすべての人に利益をもたらす「三方よし」の経営も取り入れた。「安くしてお客様が喜ぶのはいいが、仕入れ先をたたいてはいけない」と肝に銘じ、誠意を持って取引先と向き合った。 その理由を一郎はこう語る。モラロジーを学ぶため東京を訪れた一郎(左)

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