うら田 創業80年史
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82「さい川」にかけた一郎の情熱  新工場で心機一転、再スタートを切った昭和41年(1966年)は、その後、浦田を代表するロングセラー商品として今日に続く「さい川」を発売した記念の年でもあった。 さい川は粉乳と卵、砂糖などで作ったメレンゲを、長方形のもなかの皮でサンドした干菓子である。さくっとした歯触りと口溶けの良さ、上品な甘さで日本茶はもちろんコーヒーにも合うことから、食生活が豊かになっていく中で消費者の舌をとらえた。 さい川には、一郎のひとしおの思いがこもっていた。というのも、新しい看板菓子は一郎が「何か自分の代でも浦田の名物になるような新しい菓子を作りたい」と、入社間もない頃から夢を温めたものだったからだ。新商品の開発に向け、一郎はおいしさだけでなく、次の2点を念頭に置いた。 一つは日持ちである。当時、浦田の商品には日持ちの長いものがなく、土産用や贈答用にはいまひとつ不向きだった。日持ちのする菓子を作ることで、そのニーズに応

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