うら田 創業80年史
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83第3章 焼け跡からの再出発えたいとの気持ちがあった。 もう一つは、1年を通して売れる商品の開発である。他の菓子屋と同様、浦田でも夏は売り上げが落ち込んだ。1年を通して経営を安定させるには、暑い季節でもおいしく食べてもらえる商品が必要だった。 一郎にインスピレーションを与えたのは富山の老舗・月つき世せ界かい本舗の銘菓「月世界」である。口に含むとすっと溶け、ほのかに甘みが広がる人気の菓子で、一郎のお気に入りだった。「月世界のような菓子を作ってみたい」 そう考えた一郎はまず、口溶けのいい干菓子を作ってみようと開発をスタートさせた。材料も製法もまったく分からないため、現場の菓子職人は手探りで試作を繰り返した。一郎は試作品を味見し、一郎が完成させた「さい川」

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