うら田 創業80年史
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93第3章 焼け跡からの再出発を出した。中に求肥を入れ、味と食感に変化を持たせると同時に、形もよくある四角でなく、羊かんのように棹状にし、切り分けて好きな分だけ食べられるようにした。 昭和50年代の後半から夏季限定で販売する「くずきりそうめん」は、あらかじめ甘みを付けたくずきりを器に入れ、氷と冷水を入れて好みの甘さに調整して食べる菓子だ。店でできたてを食べるのが一般的だったくずきりの味を手軽に家庭で楽しめるとあって発売当初からよく売れた。店で品切れしそうになると、配送を待ちきれない各店舗からわざわざ工場にまで取りに来ることも珍しくなかった。一度食べて味を気に入り、その後、お中元として全国各地に発送を依頼するお客様も多かった。飛ぶような売れ行きのよさに、同業者からは「浦田の会社はくずきり御殿や」とまでからかわれたほどである。 梅餡やみそ餡を極薄のもなかの皮で挟み、おせちに見立てた和菓子の詰め合わせ。昭和50年代の年末年始に販売した

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