うら田 創業80年史
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94金箔をあしらった一口サイズの菓子「花うらら」もその一つ。パッケージに工夫を凝らし、4枚1セットで円筒形のプラスチックケースに入れて販売したところ、使い終わったケースを小物入れとして再利用するなど、女性客から高い支持を集めた。「私には菓子を作る技術がなかったから、職人に『こんなものはできないか』『あんなものはできないか』とどんどんアイデアを出した。時代とともに消費者の好みは変わり、菓子屋はそれに合わせて新商品を開発しなければ生き残っていけない。職人だとどうしても過去の技術や経験にしばられる。その点、私は消費者の目線から自由な発想で菓子作りをできたのがよかった」 次々とヒット商品が生まれた背景を、一郎はこう説明する。 一と村本工場長の死  店舗数が着々と増え、ヒット商品が相次いで開発される中、突然の悲しい出来事が浦田を襲った。創業50年目を迎えた昭和60年(1985年)10月28日、創業者である一が肝不全で亡くなったのだ。享年75歳だった。

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